お茶の声が聴こえるか

鉱石(あるいは火山)

黒人を見た。

ザラザラとした、光の全てを吸い込みそうな暗い肌、激しくも艶やかに唸る長く伸びた黒髪、それから、決して見透かすことのできない黄色味がかった瞳。

琥珀のような瞳。

 

まるで鉱石のようだった。

 

とても美しい彼らを僕は、芸術品か工芸品、それとも物珍しい鉱石や宝石を見るかのような目で見ていた。僕は、そういう目で彼らを見ています。

 

あるいは、火山のようだった。

 

 

ところで、"黒人"は差別表現であると言われることもある。しかし僕はアレらを差別した白人の気持ちが少しだけ分かるのだ。だって、そうだろう。あんなにも美しくて、物々しくて、自分の生命とはまるで違うものをみて、どうして仲間であると思えただろうか。

 

それに、キリスト教というのは物を使役する人種だから。白人が彼らを使役しようとしたのは実に自然な流れであったことだろう。

 

 

僕は彼らを使役しようと思えない。いや、そんな大それたことを考えるのはあまりに野蛮なことだ。僕は彼らに神を見ている。箒に神が宿るように、宝石に天使が微笑むように、黒人に僕は聖を感じている。

 

あまりに違う彼らと僕。

一つになることはかなわないな、と本能的に、そして文化的にも感じるけれど、ひとつとひとつでふたつのままに隣に飾られることはやぶさかでない気分になる。黒い君と、白いアイツ。ひっくり返しても黒は黒だし白は白、そして僕らは黄色いけれど、だからこそいいんじゃないかなって思ったりもする。