お茶の声が聴こえるか

綺麗な花には棘がある

そんな慣用句がある。

愛想のない美女を指して使われることの多い言葉だと思う。バラの棘が、彼女を食べてしまわぬやう痛くて鋭いように、厳しくも辛い態度をとるのだとどこかの誰かは言っていた。

 

ところで、バラの棘が実際に彼女を草食動物から守ってくれるのか調べてみたことはあるだろうか。つまり、守ってくれやしないのだ。彼らは容赦なく彼女を啄ばみ、貪る。凡そ私たちの知る限り弱者に見えるハムスターでさえ、薔薇を食べてしまう。なんだ、あの棘に身を守る力なんてないじゃないか。

でも、ではなぜ、棘なんて付いているのだろう。あの棘は時として彼女の身体でさえ傷つけることがあるという。まるで意味のないどころか、その強さは我が身をも蝕む諸刃じゃないか。

 

どうやら、ツル植物の薔薇がもつあの棘は、他所の茎に引っ掛けてより高いところへ、より日の当たる場所へ顔を出すためのフックであるらしかった。

 

そんなようなことを、顔はいいのにライバルの足を引っ張り有名な人に突っかかり、今夜もマウンティングばかりする美女たちを見て考える。さて、昨今の薔薇はトゲを切り落としても上手くやれば生育にはなんら問題がないらしいよ。