お茶の声が聴こえるか

人間のスープ

クリスマスにエビのスープを作った。

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弱火でクタクタと、ピュアオイルとえびの殻を味噌付きで炒めた。焦げる寸前になったら常備していたアホエンオイルとニンニクのアッシェ、ソフリット、水、魚介出汁を少々と塩胡椒で味を整えた。

 

エビは不思議。

なんていっても、あの海の暗さを物語る灰色の身体が火を通した途端にさも縁起の良さそうな赤色へと変わるのがとっても不思議。トマトなんて一切入れていない、100%エビの赤。

 

生きている間のエビは、赤色を出さない。背わたを取ってもタールのような黒だし、血液は青色。赤と青なんてまるで反対のように見える色。

でも、実はエビは生きている間も赤い。エビの青色は アスタキサンチン という成分でできていて、タンパク質と一緒に暮らしていると顔色が青白くなるらしい。姑と暮らす嫁みたいだね。ところが、火を加えることでタンパク質が天に昇ると、勢いよくなって顔を真っ赤にするらしい。鬼ごっこは続くよね。

 

ということで、目に見える色ばかりが"本当の色"ではないらしいことがわかった。私たちの身体には赤い血液が流れているらしいけれど、本当の色は何色なんだろう。死んでしまって、大きな窯の中で焼かれた時にようやくわかるかもしれない。そういう意味でも、お葬式やそれに纏わるエトセトラは僕たちの通信簿みたいなものなのかもしれない。

 

よく炒めて、思い出と一緒に煮込んでもらって、おいしいスープになれるように今のうちから沢山の海を越えて泳いで行かなきゃな。